QLOOKアクセス解析

メタモデルとしての選択理論・RT

 

選択理論は、人は自分の内側から動機づけられて行動しており、行動を選択する責任は、他人や環境にあるのではなく、自分にある、とするものである。

 

そして、今の自分の状況(感情や生理反応の悩み、願望が実現できていない状況、基本的欲求を充足できていない状況等)を改善するためには、現在自分が行っている行為か、思考を変えることによって、改善することができる、思考と行為は、常によりよい選択ができる、と説くものである。

 

また、選択理論は、全行動の概念を採用しており、人の行動は、行為、思考、感情、生理反応と言う4つの要素からなっていて、これらは一体となって動くと考えている。

 

カウンセリングでのクライアントの悩み自体は、感情や生理反応についてのことが多いが、感情や生理反応を直接よい方向に変化させることは難しい。

 

そこでカウンセリングでは、クライアントにとって変えやすい行為と思考に焦点を当て、クライアントが、行為、思考(考え方、願望、ものの見方、とらえ方など)を変えることで、間接的に、感情や生理反応を良い方向に変えることができると考える。

 

また、私たちが持つ悩みの多くは、つきつめていくと、「自分を変えたい(コントロールしたい)けれど変えられない(コントロールできない)」か、又は「人を変えたい(コントロールしたい)けど変えられない(コントロールできない)」かのいずれかに該当することが多い。

 

一方、これらの二種類の悩みについても、必ず、「悩みがなくなった状態」、「悩みが解決した状態」が考えられる。

 

選択理論における悩みの解決とは、自分の行為と思考(考え方、見方)を変えることで、解決した状態、問題のない状態、つまり、願望、上質世界が実現した状態がもたらされること、である。

 

ここで、上記のように「思考を変えること」について、「思考」という言葉をもう少し具体化すると、

 

ⅰ) 考え方を変える

ⅱ) ものの見方を変える

ⅲ) 知覚の仕方を変える

ⅳ) 気付き(洞察)を得る

 

というように考えることができる。

 

他の流派のカウンセリングも、結局は、これらのⅰ)からⅳ)によって、クライアントが現在の状況を改善し、クライアントが求めている上質世界に近づくことを目的とするものである、といういい方ができよう。

 

つまり、他のカウンセリング流派においても、結局は、本人が新たに何らかの行動を選択し、実行に移すことが、現在の状況を改善する方法となる。

 

本人が、①行為を変えるか、②思考を変えるか、または、③行為と思考の両方を変えるか、が必要であり、そうしない限り、今の状況を変えることはできない。

 

このように、何れの流派のカウンセリングにおいても、解決策は、結局、クライアントが自ら、

 

①行為を変える

②思考を変える

 

という二つの方法に、帰着するといえよう。

 

そうすると、リアリティセラピーのWDEPモデルの枠組み、全行動自動車モデルの枠組みにおいて、「行為を変える」、「思考を変える」という点では、認知行動療法、行動療法、解決志向アプローチ、来談者中心療法、NLP、フォーカシング、交流分析、などの他の流派の方法を応用することができる、ということになる。

 

ただし、留意すべき点としては、グラッサーは、選択理論・RTは内的コントロール心理学に属するものであると考えており、他の多くのカウンセリング心理学について、「カウンセラーは、クライアントを変えることができる」という外的コントロール心理学に属するものと考えているようである。

 

選択理論の立場からは、他のカウンセリング流派の技法であっても、クライアントが取ろうとする行為や思考が、カウンセラーがクライアントの選択を尊重し、クライアントが自分で選択するものであり、それらがクライアントの感情や生理反応の改善、願望の実現等を目的とするもので、クライアントの基本的欲求の充足につながるのであれば、選択理論・RTの枠組みに取り入れていくことができ、選択理論・RTのカウンセラーやコーチにとって、効果的な武器になると考えられる、ということである。

 

このように、WDEPモデル、全行動自動車モデルは、カウンセリングの「メタモデル」「汎用的モデル」といえ、選択理論・RTのカウンセラーは、自分が精通している他の流派の技法があれば、つまり、選択理論・RTが焦点を当てるところの「行為を変える」と「思考(見方、考え方)を変える」ことの具体的な選択肢として、広く、他の流派の技法を取りこみ、選択理論・RTという土台の上で走らせればよい。

 

とはいえ、選択理論・RTをベースにしたカウンセリングということであるので、WDEPモデルに沿った質問技法が基本となるのはもちろんであり、それで十分な場合には、他の流派の技法を取り入れる必要もない。

 

さらに、選択理論な生き方を選んでいる個人にとっても、認知行動療法、行動療法、解決志向アプローチ、来談者中心療法、NLP、フォーカシング、交流分析、などで用いられる技法や考え方は、自分の生き方や日常生活において、問題解決、願望の実現、基本的欲求の充足のために役に立つものが多く、選択理論・RTと全行動自動車モデルのもとで、「行為」や「思考」の選択肢として、これらを応用することで、自分が使える武器を拡大することができよう。

  

つまり、選択理論・RTは、外的コントロールの心理学ではなく、内的コントロールの心理学であり、また、基本的欲求の充足、上質世界・願望の実現、等を目指すものであるので、他流派の技法が、

 

・その技法や、カウンセラーの対応が、強い外的コントロールを伴うものである場合、

 

・その技法や、カウンセラーの対応が、クライアントの基本的欲求を阻害するものである場合、

 

・その技法や、カウンセラーの対応が、クライアントの欲求充足や上質世界・願望の実現にとって役に立たないと考えられる場合、

 

というようなものであれば、選択理論・RTの技法としてはそぐわないことになり、選択理論の枠組みの中に取り入れることは適切でないということになろう。

 

また、クライアントが受け身的、依存的であり、「私は他者によって変えられる」という外的コントロールの考え方が強い場合には、気をつけないといけない。

 

とはいえ、カウンセラーの態度や行為が外的コントロールの強いものとなるか、選択理論に沿ったものであるかは、カウンセラーとクライアントの人間関係・信頼関係の程度、カウンセラーがクライアントに適切な説明をし、情報提供をし、その選択権を尊重しているかどうか、等によって変わってくる。

 

カウンセラーとクライアントの人間関係と信頼関係が既に構築されていたり、カウンセラーの具体的な説明や、クライアントとの質疑応答が丁寧であったり、実践の後のカウンセラーのフォローが適切であったりすれば、カウンセラー側からの、外的コントロールの要素が小さくなり、選択理論に近づく対応となる。

 

カウンセラーから見れば、外的コントロール的なものと思えても、クライアントが選択理論を実践し、

 

「自分の行動は自分が選択している」、

「外から入ってくるのは、あくまで情報である。その情報をどのように受け止めて、どのような自分の行動を選択するかを決めるのは自分である」

 

「自分が選択した行動の責任は自分にある」

という選択理論・RT的な考え方をしている場合は、相手の外的コントロール的な行為も、「単なる情報に過ぎない」ということになり、他者からの外的コントロールそのものを問題とする必要が小さくなると思われる。

 

最終的には、クライアントが、カウンセラーの態度、仕方、技法を受け入れることを、自分の内側からの動機づけによって、自分が納得して選択したと考えるかどうかに、かかってくるのではないかと考える。

 

以下、いくつかの流派について、コメントする。

 

<来談者中心療法>

リアリティセラピーにおいて、「カウンセリングの環境づくり」ということがカウンセラーに求められており、これはカウンセラーとクライアントの良好な人間関係、信頼関係の形成を目指すものである。そこでは、来談者中心療法の考え方や手法がそのまま取り入れることができよう。

 

また、ロス(喪失)のカウンセリングでは、クライアントが「共感してもらえた、わかってもらえた」ということが、次のプロセスに進むためには、大事なことと思われ、傾聴が効果を発揮するだろう。プロセスが進み、リアリティセラピーのカウンセリングに進むところでは、質問技法が中心となる。

 

 

<解決志向カウンセリング>

解決志向カウンセリングについては、本人にとっての解決した状態とは、欲求が充足されている状態であるといえる。その意味では、解決志向カウンセリングにおける、解決策の構築は、クライアントの「上質世界」をていねいに意識化する手法であるといえる。

 

その意味で、解決像の構築のプロセスは、RTにおける「W」のプロセスと重なりあうと考えられ、解決志向カウンセリングの質問技法がそのまま使えよう。

  

<NLP(神経言語プログラミング)>

NLPは、セルフコントロールの上手な人、人間関係の上手な人、コミュニケーションの上手な人、目標達成や問題解決が上手な人、いわば、これらに卓越した人々に共通にみられる行動や考え方のパターンを抽出して、誰もが使える技法集としてまとめたものである。

 

NLPは、「脳の使用説明書」といわれ、「誰にとっても役に立つ技法を集めたもの」であり、自分や人の考えかたや行動を理解する強力な手だてとなる。

また、NLPは特定の心理学を背景に持つものではなく、中立的、技術的な技法の集大成を目指すものとされるので、どのカウンセリング流派も、NLPの技法を大なり小なり活用することが可能であると考える。

 

NLPの手法は、具体的には、相手とのラポール、人間関係を構築する方法、現実を知覚する方法、物事の知覚の仕方を修正する方法、人とのコミュニケーションを誤りや誤解のないようにする方法、物事を多角的に捉える方法、自分の願望を具体化し、実現しやすくする方法、相手の非言語の表現、身体表現を読む方法、などがある。

 

NLPの各技法は、個人が自分で使えば、セルフマネジメントやセルフカウンセリング、セルフコーチングの方法として使え、対人関係で使えば、コミュニケーションの環境づくりを丁寧に、効果的に行えるようになり、人間関係を良くしたり、人を支援する方法、交渉の方法として使える。

 

RTにおいても、効果的な「行為」や「思考」の選択肢として広く活用することができよう。