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「喪失(Loss)を癒すカウンセリング」の位置づけ

 

「人は人によって癒される」というセラピーと、「自分のセルフコントロールを支援してもらう」というセラピーがあり、リアリティセラピーは後者であるようだ。

 

クライアントが、かけがえのない大事なもの、自分のからだの一部となっているものなど、を喪失したかなしみ、苦しみ、つらさ、などにうちひしがれているようなときには、それらが、「変えられない事実」であるとしても、クライアントがそれを受け入れられるようになるには、それなりの時間が必要である。

 

クライアントの「癒されたい」という願望は、生存の欲求、カウンセラーに向けた愛の欲求であると考えられるが、このときのカウンセリングとは、「クライアントが自分の感情を、行為や思考を変化させることでセルフコントロールしていくというリアリティセラピーの手法」というよりも、「人は人によっていやされる」というところに焦点を置いた、異なる性格のセラピーであると考えられる。

 

リアリティセラピーの場合には、「変えられないもの」ではなく、「変えられるもの」に焦点を当てるが、このような「ロス(喪失)の感情」があまりにも大きい場合には、クライアントが「変えられないもの」を「変えられないもの」であることとして受け入れて、あきらめるというプロセスが必要である。

 

クライアントがカウンセラーを信頼し、自分の胸の内をことばにして意識化し、それをカウンセラーに共感してもらうことで、クライアントが癒されていくというプロセスを経て、クライアントには、つぎの前向きになるプロセスに移行できる気持ちが生じてくるものと思われる。

 

自分の気持ちをわかってほしい、自分を受け止めてほしい、一種の人間愛にたいする欲求を満たしてもらうことは、いやされることを求める身体の声かもしれない。

 

したがって、クライアントの立場に立って考えた場合、クラアイアントが、「変えられないもの(大切なものを失ったこと)」は、「変えられないもの」であることについての、心の痛みを、カウンセラーに共感的に受け入れてもらい、癒されることを望んでいる場合には、この「癒しのプロセス」が、「変えられること」に焦点をあてて、欲求を充足するための行動を選択していく「リアリティセラピーのプロセス」に先行する必要がある、と思われる。

 

来談者中心療法は、カウンセラーが、クライアントの話すことをじっくりと傾聴し、クライアントの鏡のような存在として、クライアントの話すことを、クライアントに対して反射的に返していくことで、クライアントが、自分の頭と心の中にあることを意識化(客観視、見える化)できるようにする手助けをするものである。

 

それにたいし、リアリティセラピーでは、その基礎に、「こうすれば、個人が幸せをふやし、不幸をへらせる」という選択理論心理学の考え方があり、それを実践していくうえでの、意識化(見える化)すべきものの内容、意識化の順序の体系がある。

 

この点で、来談者中心療法において、クライアント自身による意識化の手伝いを、カウンセラーが受け身的(非指示的)に支援するのと、カウンセラーが質問でリードするリアリティセラピーとは異なっているといえよう。

 

従って、「喪失(ロス)」がテーマとなり、「人は人によっていやされる」というプロセスが重要な場合は、クライアントに対し、「カウンセラーとしての私に、どんなお手伝いを期待されていますか」という質問が有効であろう。

 

また、「あなたの願望は何か」との質問を早くし過ぎると、いまだそのような気持ちになれないクアライアントのカウンセラーにたいする信頼が低くなる可能性があるように思われる。