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逆説的手法について

選択理論・RTの学習者にとって、わかりにくいものの一つに「逆説的手法」があります。ここでは、主催者が、「逆説的手法とは、要するにこんなことではないだろうか」と考えて、まとめたことを書いています。

 

まず、「逆説」と「逆説的手法」の意味ですが、

逆説:常識に反するようで、実際には、真理を突いている。一見矛盾するようにみえるが、実際には、真理を突いている、

 

逆説的手法:上記の「逆説」のような、クライアントの予想しないこと、予想に反すること、期待に反することをすること、

 

と考えられます。

 

そして、逆説的手法を採用する意義としては、直接的な手法でやるより効果的であったり、容易に行える場合があり、また、「カウンセリングの創造性を発揮する」ための一つの方法だと考えれられます。

 

一方大事なこととして、逆説的手法によっては、「深刻な状況にあるクライアント」や「重大な危機にあるクライアント」などに使ってはならない場合やケースがあり、注意を要するとされます。

 

選択理論・RTそのものが逆説的なところがあります。

 

通常は、クライアントに症状があれば、その症状に焦点があてられますが、選択理論・RTでは、直接、「症状」を治そうとせず、行為と思考を変えることに焦点を当てる、というところが逆説的です。

 

また、通常は、世の中では、相手を変えよう(コントロールしよう)とするのは当たり前のことと考えられていますが、選択理論・RTでは、私たちは、相手を直接コントロールすることはできない、相手の行動を変えるのではなく、自分の行為と思考を変えれば問題は改善する、というように考えます。(世の中の常識が、外的コントロール心理学であるのに対し、選択理論は内的コントロールの心理学であり、一種の逆説であると言えます。)

 

逆説的手法の例としては、以下のようなものがあります。

 

①症状を選択するように促す→毎日、時間を決めて、一定時間、症状を選択しましょう(例、嫌な人のこと、つらいことを思い出しましょう)

 

「それをしてしまう」→「それを徹底的にしてみる」(その方向での行動を徹底することで、行動の意味が変わる(例えば、こだわりが、ばからしくなる。その症状を飼いならして、コントロールできるようになる)。

 

そして、自分で自分の思考をコントロールできることに気づく。思い出す選択もできるし、思い出さない選択もできる。そうしている自分を客観的にみる。振り回されていた自分に気づく。

 

<例、高校時代に自分をいじめた○子のことにこだわっているクライアント>

 

「今から言う方法は、必ずやってもらわないといけません。よろしいですか。3日間でいいですから。

 

ここに紙袋があるとして、日中に、○子さんのことを思い出したら、その思いを紙袋の中にしまってください。そして、そのときは何も考えないようにして、考えることは後にとっておいてください。考えが浮かんでくるたびに、紙袋にしまって、そのときは考えないようにしてください。

 

そして、夜、食事が済んで、お風呂に入って、一息ついたら、夜8時ちょうどがいいですか、その時間になったら、紙袋を開けましょう。そして、30分間、中に詰めた○子さんのことを取り出して、十分に思い出してください。

 

お昼に紙袋につめたものは、洗いざらいとり出して、思い出してください。ただし、○子さんのことは、その時間だけ考えるようにしてください。

 

考えた後は、紙袋は捨ててしまっても、燃やしてしまっても結構です。これを必ずやってください。3日間で結構ですから。

 

大事なことは、その時間以外に思い出しても、必ず紙袋に入れてしまって、そのときは考えないようにしてください。そして、夜8時になったら紙袋を開けて、必ず、一つ一つ取り出して、全部思い出すようにしてください。これを必ず3日間やってください。

 

それでは、今言った、「やること」を自分で言ってみてください。

そのとおり必ずやってください。

 

②症状を受け入れる

→「私はあがり症なんです。あがるとこうなります」といって、あがってみましょう。

→震える人なら、「震えないふり」をするのでなく、「おおげさに震えるふり」をしましょう。

 

上記のことも、自分自身を「症状」にコントロールされないようにする。逆に、「症状」をコントロールできるようにすること、を目ざすものである。

例えば、「あがって、赤面すること(症状)にコントロールされる」のでなく、「あがって、赤面することをコントロールしよう」ということである。

 

③両立しない行為と組み合わせる

→散歩しながら、激しく怒りましょう

 

④肯定的言い換え

クライアントが否定的なこと言う場合、カウンセラーがそれを肯定的に言い換える。

 

クライアントに、「外的コントロールしている相手が悪い」というような言い訳を許していると、クライアントは自分の責任とは考えない。肯定的言い換えをカウンセラーが続けると、クライアントから、そのような言いわけが出てこなくなる。

 

⑤「症状」に対する見方を変える、言い換える→「症状」にもプラスの意味があり、役に立っているところがある。

 

⑥クライアントの否定的な発言に対し、発言の冒頭に、「それ(否定的なできごとこと)はよかった。なぜなら~」と付け加えて、肯定的な理由を考えてもらう。

 

⑦クライアントが予想しないことをする→従業員が「遅刻した事実」を責めるのでなく、かえって、それ以外の「時間通りにきていた方の事実」の方をほめる。

  

以上の①~⑦では、

 

・相手がしてはいけないと思っていることを「したらどうですか」と勧める

・相手が予想していないことを提案する

 

・相手が予想していない方法を提案する

・相手がしようとしていること以外のこと、反対のことを「してみたらどうですか」と提案する

 

・相手が否定的な見方をしていたら、肯定的な見方をしてもらう。(肯定的言い換えで意味が変わる)

 

・「相手が今している見方」とは別の見方で見てもらう(立場の転換、時間、空間の転換)

 

・「相手以外の立場」、「相手が問題にしていない自制(過去、現在、未来)」に立ってみてもらう。

 

など、いわば、普通の逆をいく、反対側からいく、本人の思惑の逆をいく行為が目ざされており、それによって、クライアントに、客観的、相対的、肯定的、全体把握などの視点をもたらすものだといえるでしょう。

 

そのような意味では、逆説手法の多くは、「本人のフレーム」とは「異なるフレーム」で見てもらうようにする手法、「異なるフレーム」に基づくやり方を提案する手法、といえるのではないでしょうか。