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選択理論に基づくコーチングとカウンセリング

コーチングは、クライアントの「~したい」、「~になりたい」という願望をゴールとし、クライアントがそれを実現するのを、コーチが傾聴や質問などの技術によって支援するものである。

 

ここで、コーチングとカウンセリングを、選択理論の観点から、どこで分けるかという点についての、現時点での主催者の考え方としては、「クライアントの症状(感情や気持ちの点での悩み、及び生理反応的な悩み)を問題とするものはカウンセリング」、「もっぱら、クライアントの上質世界(ゴール)の実現を目指すものがコーチング」という具合に考えておけばいいのではないかと思う。

 

もちろん、これら二つは、きっちりと分けられるものではなく、選択理論・RTでは、いずれにしても、クライアントの上質世界の実現が目ざされるものという点では共通している。

 

そして、「もっぱら、クライアントの上質世界(ゴール)の実現を目指すものがコーチング」というとらえ方をすると、この場合のクライアントは、症状(感情や気持ちの点での悩み、及び生理反応的な悩み)という問題を抱えていない人であり、深刻な人間関係の問題もなく、より充実した生き方をしたい、ということを目指している、ととらえられる。

 

このようなクライアントについては、ゴールの達成のためには、「自分の行為や思考を変えること」は、必要であれば、当然のことであり、「自分がコントロールできるのは自分の行動だけである」ということも受け入れるであろう。

 

また、症状を訴えていないということは、「私の症状を生じさせているのは、だれか別の人間や状況であって、自分は悪いのではない」という他責的な考え方をしていないか、していても、現状では、あまりそれが問題となっていない状況であることが考えられる。

 

そして、このような場合には、クライアントは、ゴール達成へのモチベーションが高いことから、ゴールを明確化しさえすれば、「現在の自分が選択している行動が、現在の状況をもたらしているということの気づき」や、「相手を変えることはできない。できるのは自分の行動をコントロールすることだけである」、「自分が行為や思考を変えていくしかない」、というような気づきを、カウンセラーがクライアントに自己評価を促すことによって、クライアントに自ら気づいてもらう、というプロセスを簡略化したり、省略したりでき、その分、支援者側の労力が少なくて済むと考える。

 

コーチングのモデルとしては、GROWモデルがよく使われるが、コーチングで目ざされるのは、上記のとおり、クライアントが、もっぱら、ゴールを達成するための行動を重ねていくというものであるので、コーチングの内容は、クライアントが、目標設定(上質世界の明確化)をきっちりと行い、現状とのギャップを具体的に見える化し、ギャップを埋めるための方法の選択肢を考え、最適な方法を選択して、着実に実行していくというものになる。

 

また、併せて、クライアントが自分が使える資源を明確化したり、やる気、モチベーションをより高めたり、進捗状況を把握したり、成果や達成状況を測定したり、さらには、次のコーチングサイクルにつなげていくことが中心となる。

 

コーチングは、「願望の実現を目的とする」という点で、選択理論・RTと目ざすところが重なり、選択理論・RTの枠組みをそのまま活用することもできる。

 

コーチングのGROWモデル(ゴールの設定-現状把握-行動の選択肢-やる気の確認)は、RTWDEPモデル(願望の把握-現在の行動・現状の把握-自己評価-プランづくり)に基づく枠組みの簡略モデルと捉えることも可能であると考える。

 

以上のように、コーチングは、クライアントの主体性や、クライアント自身が自発的に行動することを目ざすものではあり、クライアントによる内的コントロールを前提にしていると考えられるが、一方では、選択理論・RTの説く、「他者を外的コントロールする、しない、あるいはしてはならない」という点については、通常のコーチング理論では、あまり触れられない。

 

「過去と相手は変えられない。自分と未来は変えられる」ということはコーチングでも言われるが、「内的コントロールと外的コントロールの区別」や、「良好な人間関係の観点からの外的コントロール行為の排除」などは、選択理論の考え方である。

 

従って、選択理論・RTの枠組みでコーチングを行う場合には、「内的コントロール心理学に基づくコーチング」、「外的コントロール行為の排除を前提とするコーチング」というものとなろう。

 

また、コーチングでは、クライアントは、他者を外的コントロールしたり、他者から外的コントロールされたりということがテーマとなるより、クライアントが自らのゴールの達成を目指して、本人自身による行動のセルフコントロールを、いかに効果的に行うかが、中心的なテーマとなり、ゴールを具体的に特定してその達成を目指すということが重視されることが多いであろう。

 

選択理論・RTのカウンセリングにおいては、クライアントの願望を広く探り、様々な側面や分野の理想のイメージアルバムである上質世界を見える化していく。それに対して、コーチングでは、

 

①「クライアントの上質世界を幅広く探る」というよりは、特定のゴール(願望)を設定し、いかにスピーディに、かつ質的に高いレベルでそのゴールを達成するかを目指す

 

②コーチングのクライアントは、ゴールを目指すやる気の点で、心理的な問題を抱えるカウンセリングのクライアントより、高いレベルにあることが多い

 

③「現状のままで願望が達成できるか」という自己評価のチェックより、「いかにゴールを実現するか」という方法、行動の選択肢、達成のためのプランづくりに重点が置かれるので、カウンセリングにおけるほど、自己評価のプロセスが重要とならない。

 

④そして、ゴールを達成するというテーマでは、PDCAサイクル(計画→実行→評価→追加行動)を使って、行動をマネジメントしていくことが効果的である。

 

などのことが言えるように思われる。